ふるふる哲学

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狩猟文化の世界観から見る仏教の役割についての考察

投稿日:2022年4月11日 更新日:

伝統文化の中でも、原初的な狩猟文化の世界観は、人類が数万年を生きた世界観であり、人間の心の構造を正直に反映した普遍的な価値観であると思われる。

だが、文明が発達した現代社会において特に、
この世界観の中での、一般社会の常識では生きていけない溢れ者と呼ばれる人々が出てきてしまうのもまた事実である。

>正常ではない魂は、死者の世界に入って「祖霊」になれず、地上を彷徨って死霊のままにとどまり、人間に災いをもたらすと考えられました。
例えば、あまりに悪行を行った人間、恨みを持って死んだ人間、異常な死に方をした人間、若くして死んだ人間、子供を持たずに死んだ人間の魂などです。

引用:https://morfos.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

このような、溢れ者と呼ばれる人々を救済する側面が、仏教にはあるように思える。

>その中で、釈迦は、王国でもなく、部族社会でもなく、第3の方向を目指しました。
仏教の解脱思想、「空思想」は、「一」に統一する王国の世界観を否定すると同時に、部族社会の世界観をも否定するものでした。

引用:https://morfos.blog.ss-blog.jp/2020-10-22

通常、順当に結婚して子供を授かった者は、通過儀礼における「祖神化のプロセス」において、

葬儀(死霊化)→埋葬(精霊化)→年忌法要(祖霊化)→弔い上げ(祖神・氏神化)

を経て、魂が悪霊にならずに正しい方向に進むように、残された親族によって儀礼が執り行われるのが通常の流れである。

参考:https://morfos.blog.ss-blog.jp/2020-11-10

だが、このような例に該当しない「正常ではない魂」と呼ばれる人々は、「祖神化のプロセス」において、頼れる親族がいない場合もある。

そのような人々が死後、無事に浄化され、祖霊になるためには、「自分自身で自分を救済する」必要がある。

そこで浮上してくるのが、仏教なのかもしれない。

正常ではない魂が持つカルマを、自ら仏教の教えにより解消していくことによって、
自らを普遍的な方向に浄化していく。

これが、仏教の教えの本質なのかもしれない。

また、「家系」「先祖」について、こちらの文章を引用したいと思う。

>初期の狩猟文化は、数家族からなる流動的なバンド単位で、定住せずに移動生活を行っていました。
ですが、徐々に、主に漁撈の生産量が多い場所から定住生活が生まれました。
日本では縄文時代の早期に定住化が行われました。

遊動文化では、家族制度は、双系で、出自が組織化されておらず、従って、「家系」という観念を伴いませんでした。
ですが、定住にともなって、氏族社会が成立し、出自が女系、もしくは男系に組織化されます。

これに伴って「先祖」は、一つの「家系(氏)」の先祖となります。
そのため、「先祖」は純粋に普遍的な霊魂ではなく、氏族としての個性を持つ存在になります。

引用:https://morfos.blog.ss-blog.jp/2020-11-05

こちらの文章からわかるように、本質的には「先祖」は氏族としての個性ではなく、「純粋に普遍的な霊魂」としての先祖であると思われる。

仏教で言うところの涅槃に入るという概念は、狩猟文化においては「純粋に普遍的な祖霊」になること、
つまり、原地母神の創造性と一体化することであるのかもしれない。

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