ショーペンハウアー「自殺について」漫画版読み終えました。
感想としては… 内容は、仏教哲学の思想が一番近いかなという印象でした。
もともと、ショーペンハウアーは東洋思想に大きく影響されたから、その思想が色濃く反映されてる。
プラトンのイデア論も、東洋思想の系統にかなり近い思想を持っているから、
プラトンのイデア論と仏教的な東洋思想をミックスして、それにカントの哲学を取り入れたといった感じの思想がショーペンハウアーのような気がしました。
要するに、プラトン主義系統の西洋哲学における集大成がショーペンハウアーなんだろうなという感じです。
プラトンのイデア論の思想は以下の通り
Wikipediaより「我々の魂(プシュケー、精神)は、大昔に神々と共に天上界にいて、真実在(イデア)を観照していたが、地上界に堕ちてきて、肉体に寄生し、輪廻転生を繰り返すことになった。我々は忘却してしまっているが、魂には、かつての天上界における真実在(イデア)の記憶が残されており、我々はそれを呼び起こす真実(イデア)の似姿に惹きつけられ、その記憶を取り戻そうとする。そうして徳を積んだ魂は、輪廻転生からいち早く解脱し、天上界に帰還することができる。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%AE%E7%9A%84%E8%AB%96
一方、古代インドの思想は以下の通り
Wikipediaより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%AE%E7%9A%84%E8%AB%96
古代インドでは、バラモン教のウパニシャッド哲学以来、世界の根源・本質(梵、ブラフマン)と魂(真我、アートマン)の同一性を悟る境地(梵我一如)に至ること、そしてそれにより輪廻転生を抜け出す(解脱する)ことが、人間の究極目的とされてきた。この発想は、(少し観点・用語・ニュアンスが異なる場合もあるが)仏教・ジャイナ教など、他のインド系宗教によっても継承されている。
このインド思想は、上記したように、プラトンの発想と類似している。また、後代の、「一者からの流出」(と、そこへの回帰)を特徴とするネオプラトニズムとも近い。
ショーペンハウアーの漫画版を読んだ中で言うなら、ショーペンハウアーのなぜ自殺してはならないのか?についての、私が解釈したことを私自身の言葉で書くならば…
生への意志が強い者ほどそれに挫折した時の反動で絶望の末自殺に至ってしまう 生への意志という強い我欲と自殺は表裏一体 輪廻転生の輪から解脱するには「その強い我欲という鎖から解放」されなければならない 我欲に支配されている時の世界の見え方は「我欲という色眼鏡」で世界を捉えている だが、我欲から解放された後で見える世界は「我欲という色眼鏡」無しで見える「ありのままの世界」 その「物事の一切は、関係性によって成り立っている」という世界の真実をありのままに見えるようになることで、自然なままに生き、自然なままに寿命を全うすることができる その先にあるのが「輪廻転生の輪からの解脱」である
そういうことが言いたかったのだろうと、私は思いました。
ちなみに、ロジャー・ペンローズさんは、「数学的プラトン主義者」なんだろうと思います。
数学において「数学は、発見か?発明か?」という問題がありまして、
おそらくペンローズさんは「数学は発見である」と思ってると思います。数学という概念は、イデアとしてイデア界に存在し、それを我々が数式を駆使して「発見している」のだと。
おそらくペンローズ氏の思想の根底は、この思想があるのだと思います。
そして、茂木健一郎さんも「プラトン主義」の理想は持ってる方だと思います。
だが、この問題の厄介なところは… イデアの存在を「科学で証明しようがない」という点にあるところです。
結局のところ、イデアの存在を「信じるか信じないか」という宗教を信じるか信じないか と変わらなくなってしまう。
それを「量子力学」の解釈で科学を取り入れようとする動きが、ペンローズさんの量子脳理論であり、
茂木健一郎さんは「脳科学」を使って説明しようと取り組んでいる。
依然、物理主義者(唯物論者)を騙らせることができるだけの確固たる証明とは程遠いものの…