「皇帝の新しい心」を読み終えました。
ペンローズ氏は、意識の謎の解明は「量子重力理論」の解明と関わっているとおっしゃってました。
量子重力理論とは、宇宙の始まりである「ビッグバン」の謎を解明する未解明の理論です。
ペンローズ氏いわく、時間の流れはエントロピーの増大と関係しているとのことです。
エントロピーは、小さい状態から大きい状態へ移行します。それは「秩序から無秩序への移行」です。
実のところ、これ以外の物理法則には時間に関しては、逆向きでも正向きでもどちらでも成立してしまうのです。
エントロピーの増大が唯一、時間と関係する物理法則なのです。
そして、宇宙の始まりであるビッグバンの直後は「エントロピーが極小」の状態です。
宇宙の終わりであるビッグクランチは「エントロピーが最大」の状態です。
そして、ここからは私の考えなのですが、
生物も、老化というエントロピーの増大が必ずあります。
産まれて間もない頃は、エントロピーが最小の状態だったでしょう。
それが、老化というエントロピーの増大により、生物の身体は次第に劣化していきます。(劣化⇒無秩序になっていく)
宇宙の誕生~宇宙の終焉(エントロピーが極小の状態から増大していく)
生物の誕生~生物の死(エントロピーが極小の状態から増大していく)
という共通点が見出すことができます。
そして、ペンローズ氏は(まだ私が読んでない本)『宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか』にて、
宇宙の始まりと終わりは「同じ」である、
というサイクリック宇宙論を提唱しています。
つまり、これが示唆することは、
生物の誕生と死は「同じ」である、と言えます。
宇宙は「物理空間」ですが、生物の意識は「心的空間」とも言えます。
意識である「心的空間」も、宇宙の始まりと終わりという物理空間の誕生と終わりと同じような法則で成り立っているのではないかと、
そう思いました。
つまり、サイクリック宇宙論は、宇宙空間の輪廻転生と言えますし、
もし意識も量子重力理論が関係しているとするならば、輪廻転生の存在が示唆されるのではないかと思います。
だが、それと同時に、「意識の誕生と死は同じ」と説くならば、
「輪廻転生は存在するけど、あの世は存在しない」ということになります。
死の瞬間は、次なる生の始まりであるわけですから、
あの世が間に入る隙はありません。
だが、プラトン的世界であるイデアは「無時間的」な存在ですので、時間概念が存在しないイデアという「あの世(仮)」においては、
「時間の流れの無いあの世という期間」が存在する可能性は否定できない…