世界の本質を最もよく描いた宗教は仏教なのではないか説 ~第3話「ホログラム」~
宇宙そのものは一種の巨大なホログラムであり、時間と空間をまったく超越したレベルからの投影である。
この驚くべき考えを築き上げたのは、アインシュタインの弟子であり、世界で最も尊敬されている量子物理学者のひとり、ロンドン大学のデイヴィッド・ボームと、スタンフォード大学の神経生理学者で、古典的とも言える神経心理学の教科書『脳の言葉』(邦訳、誠信書房、1978)の著者でもあるカール・プリブラムの二人である。
興味深いのは、ボームとプリブラムが、それぞれまったく異なる方角から進んできて、同じ結論に達したという事実だ。
ボームは、通常の理論では量子物理学の世界で遭遇する現象のすべてを説明できないことにあきたらず、長年不満を持ち続けたのちに、はじめて宇宙のホログラフィックな本質に確信を持つようになった。プリブラムのほうも、通常の理論ではさまざまな神経生理学上の謎を説明できなかったため、これに確信を持つに至ったのだった。
しかし、いったんこの考えに到達してからは、ボームとプリブラムともに、ホログラフィック・モデルが他にもいくつかの謎を解明できることにすぐ気づいた。
このモデルがほとんどすべての超常現象や神秘体験を説明するのに役立つということだ。
※出典:『投影された宇宙―ホログラフィック・ユニヴァースへの招待』(著:マイケル・タルボット)
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この書籍の冒頭の章には、量子力学の奇妙な現象を解釈するのに、ホログラムの概念を用いた物理学者デイヴィッド・ボームについてと、脳の記憶の仕組みを説明するのにホログラムの概念を用いた神経生理学者カール・プリブラムについての説明が書かれています。
驚くことに、第2話で取り上げた宇宙論における「ホログラム」という概念。
その「ホログラム」という概念を、弦理論やブラックホールの仕組みの説明のアプローチ以外の方面からも、導き出されていたというのです。
さらに、この書籍には、「このモデルがほとんどすべての超常現象や神秘体験を説明するのに役立つということだ。」
とも書かれています。
いったいどういうことでしょう?
その説明をするにあたり、必要となってくる考え方を引用していきます。
まず彼は、電子などの粒子は、観測者がいなくても存在するという前提から出発した。
もうひとつの前提は、ボーアの言う不可侵の壁(時間の壁)を越えたレベルにも、さらに深いリアリティが科学によって発見されるのを待っており、いわば「量子下」の現実が存在しているというものだった。
ボームはこの新たに提唱したフィールドを「量子ポテンシャル」と名づけ、重力と同じように、それはあらゆる空間に浸透しているという理論を展開した。
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古典的な科学は、あるシステム全体の状態を、ただ単にその各部分の相互作用の結果として考えるのが常であった。
しかし、量子ポテンシャルの考え方はこの観点を根底から覆し、各部分の動きとは、実は全体が決めているものであることを示している。
またこれは、プラズマにある電子が、どうして相互結合性をもつ全体として振る舞うのかも説明できる。
ボーム「このような、量子的全体性ともいうべき特性をもつ活動は、機械の部品を組み立てたときに得られるものというよりも、生き物の中で機能している各部分がまとまってつくりだす一体性に近い。」
ボームの量子理論の解釈によれば、量子下のレベル、つまり量子ポテンシャルが作用しているレベルでは、特定の場所というもの自体が存在しなくなるのである。
空間のあらゆる点は、他の点と同じであり、あるものが他のものと別に存在すると考えるのは意味のないことになる、というのだ。
物理学者はこの特性を「非局在性」とよぶ。
量子ポテンシャルの非局在的な特性を考えることで、ボームは光速より速いものの存在を禁ずる特殊相対性理論の法則に反することなく、ふたつの粒子の間のつながりを説明できるようになった。
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ボームは、この深いレベルの現実を内在秩序、そして私たちが存在しているレベルを外在秩序とよぶ。
※出典:『投影された宇宙―ホログラフィック・ユニヴァースへの招待』(著:マイケル・タルボット)
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つまり、この解釈によると、
・私たちの住む世界:外の世界
・量子下レベルの隠れた世界:内なる世界
が存在しているということになります。
ホログラムフィルムにレーザー光を当てると3次元立体像が投影されるように、
我々の存在そのものも、そのホログラムフィルムから投影された3次元立体像なのだと、そう説明されているのです。
では、その投影された3次元立体像の本質はどこにあるのか?
それがホログラムに記録された「情報」になるのです。
その本質となる情報が、量子下レベルの内なる世界に保存されているということになるのです。
次回は、このホログラフィック・モデルの考え方が、実際にどう応用して解釈することができるのか?
引き続き、引用と共に説明していきたいと思います。